荒川正光

Arakawa Masamitsu

Punctua
―欧文約物タイプフェイス―
Typeface for punctuation


Book
H297 × W210 × D11.8mm H297 × W210 × D2mm

作者より

Punctuaは欧文の約物のみを収録したフォントファミリーである。実際に使用するには既存の欧文書体と混植する必要がある。本書体のファミリーは合計42のウェイトで構成され、複数の字形や花形装飾を含む。
2冊の書体見本帳は15世紀後期のヴェネチアに存在した印刷所Aldine Pressから出版された書籍を意識した装丁となっている。Aldine Pressの端正な意匠と特徴的な組版を研究することによって約物を最も美しく印象深く見せることを試みた。

荒川正光

担当教員より

新しい活字書体は人々にその新鮮さが気づかれないほど優れているとは、スタンリー・モリスンの信条だった。そうした事態に変化はあるが、Punctua(約物)やVignette(花形装飾)にはなお寡黙さが求められる。だからこそ、速読性や判読性に影響を与えるこの「約物専用タイプフェイス」研究の独自性が際立つ。各書体の研究を基礎として合成フォント専用へと進んだ開発手順は真っ当で、書籍の出来上がりも申し分ない。高貴なスミレの花を見る思いのする研究である。

デザイン情報学科教授 森山明子