木村大祐

Kimura Daisuke

queer garden

インスタレーション|銅版画インク、雁皮紙|エッチング、ドライポイント、アクアチント
Installation art | Copperplate engraving ink, paper | Etching, drypoint, aquatint
可変

作者より

「queer」という言葉は性的少数派に対する差別用語として使われていましたが、現在は肯定的な意味で使われています。それは、当事者である本人たちが皮肉という角をユーモアというヤスリで削ってきたからです。
僕は角のない作品を作ることで、これからの生きやすさに繋がると信じています。皆さんが自由な庭で過ごせますように。

木村大祐

担当教員より

“queer garden”と名付けられた地上の楽園。そこに作者は安息の地を見たという。パーツを成している銅版画はどれも角を落とされて、丸みを帯びている。聞けばユーモアという名のヤスリですべての憎しみや悲しみ、偏見といった世間の澱を削ぎ落しているのだという。まるで銅版画の成り立ち、そのものではないか。銅を腐食し、傷つけることによって、ようやく生まれ変われるのだ。そして、刷り取る。生きること、すなわち銅版画をつくること。一見、軽妙さが支配する画面のなかには、想像以上に奥深い豊かな人生が隠されていると思う。

油絵学科教授 高浜利也