工藤空

KUDO Sora

大きなロバを空へ送る

木版、木炭、木材、ベニヤ板、麻紐、油性インク
インスタレーション|約H6000 × W5500 × D7500mm、H3700 × W1700 × D1700mm

作者より

"空"に向かって何か作りたいと思ってた。
昔、近所に住んでいたロバは町の開発で住む場所を無くして死んでしまったのか、どこか遠くへいってしまった。
昔のロバを空へ送ることにした。
版木で造形された大きなロバを愛でるように摺る。木版を使って原始的に僕らの身体から出力をする。
大きなロバとの場所を設けて出力を続けたことで大きなロバが持つニュアンスが変化していく。
大きなロバを空へ送ることを続ける。からこれからも変化していく。

工藤空

担当教員より

子供の頃、家族で移り住んだ東京郊外にある住宅街の空き地で飼われていたという、ロバの記憶が出発点となっている。建物に囲まれた隙間の空間に組み上げた、単管パイプに据え付けられたチェーンブロック。その無骨な鎖に吊るした巨大なロバの頭部が、空に向かって解き放たれようとしている卒業制作のインスタレーションに、度肝を抜かれた来場者は多かっただろう。見る者を圧倒する存在感だけでなく、そこに至る制作プロセスや、設営直後のロバの頭を刷り取るパフォーマンスなど、展覧会途中で音響も採り入れた動態的なインスタレーションというあり方も、版表現の新しい方向性を暗示している。よく見ると気づくが、実はロバの頭自体が木版画の版木なのだ。パフォーマンス参加者がインクを刷り取りながら感じる、彫り跡に宿る作者の記憶や思念、そしてこの先の物語。在学中、旅先のインドネシアで出会ったアートコレクティブの活動や、特定の場所に根差したヴァナキュラーな展開など、社会との接続を強く意識しながら模索を続ける日々がこの先しばらくは続くであろう。ホワイトキューブを飛び出し、現実に晒されることで工藤空の目指す表現はこの先、比類ない切実さと強度を纏うことになると強く信じている。

油絵学科教授 高浜利也