山田ひかる

Yamada Hikaru

MEMENTO#2

和紙、油性インク、木版
Washi, oil-based ink, woodcut
H1830 × W950mm

みやとケンとジョーイ
Miya,Ken and Joey

和紙、油性インク、木版
Washi, oil-based ink, woodcut
H950 × W950mm

はやにえ
impale

和紙、油性インク、木版
Washi, oil-based ink, woodcut
H290 × W660mm

平成2う1058
heisei2u1058

和紙、油性インク、木版
Washi, oil-based ink, woodcut
H800 × W800mm

MEMENTO#3
和紙、油性インク、木版

Washi, oil-based ink, woodcut
H290 × W660mm

作者より

昨夏、私の住む街でひとりの女子高校生が電車にはねられ亡くなった。少女は高校の制服姿で線路内に飛び込み、自らの命を絶ったらしい。遺骸が片付けられたあとも匂いに誘われて集まって来たカラスたちが線路をつつく様を見た。少女を取り巻いていた人々は彼女の死をどのように消化していくのだろうか。
あらゆる世界の中で死んでいった少年少女の思いに触れたいと希求し彫った。

山田ひかる

担当教員より

女子高生の死体という、センセーショナルなモチーフを木版画として丁寧に彫り起こし、繊細な和紙に刷り取った意欲作。実際に発生した女子高生にまつわる事件をベースに作者がイメージを膨らませ、虚実取り混ぜて構成した複数の画面から紡ぎだされる物語は、時空を超えた不可思議な違和感を醸し出している。腹からはみ出した内臓、むき出しの骨や筋肉など、目を背けたくなる残酷さとは裏腹の画面全体を支配する場違いの明るさは、無常観と共鳴しながら観る者の困惑を誘い出す。その居心地の悪さこそが、この絵の落としどころなのかもしれない。

油絵学科教授 高浜利也