A LITTLE EXCELLENTインスタレーション|紙、インク、シルクスクリーンInstallation art|Paper, ink, silkscreen printing
驚くべきことですが世界平和や戦争反対、家内安全なんてものは写真には写らないのです。自分の周りで起きたことくらいしか撮れません。猟に行けば山の写真です。夜の街に行けば夜景が写ります。だから嘘をつかないと言いたいわけではありません。今の時代は嘘も本当もわかりません。今までもそうだったのかもしれません。 ただ、淡々と過ぎ去る現象を撮る以外には他にありません。そこに愛を見たいのです。 海野幸太郎
海野は写真を専門とした大学で2年間学んでおり、3年次に武蔵野美術大学に編入した。作品を司る「死生観」はドキュメンタリーとしての写真に色濃く表れている。彼にとって写真は表現の主軸であり、シルクスクリーンもそのひとつと考えている。版画は元々伝達手段として様々なメディアを取り込んできたが、写真も例外ではない。彼の作品は一見すると写真にしか見えないが、それは作者の意図するところで、半透明のインクで5回以上刷り重ねられた画面は写真と版画の両者の特性を生かした微妙な均衡が保たれている。海野なりの版を使った写真への落とし込み方にこれからも期待したい。 油絵学科准教授 元田久治
作者より
驚くべきことですが世界平和や戦争反対、家内安全なんてものは写真には写らないのです。自分の周りで起きたことくらいしか撮れません。猟に行けば山の写真です。夜の街に行けば夜景が写ります。だから嘘をつかないと言いたいわけではありません。今の時代は嘘も本当もわかりません。今までもそうだったのかもしれません。
ただ、淡々と過ぎ去る現象を撮る以外には他にありません。そこに愛を見たいのです。
海野幸太郎
担当教員より
海野は写真を専門とした大学で2年間学んでおり、3年次に武蔵野美術大学に編入した。作品を司る「死生観」はドキュメンタリーとしての写真に色濃く表れている。彼にとって写真は表現の主軸であり、シルクスクリーンもそのひとつと考えている。版画は元々伝達手段として様々なメディアを取り込んできたが、写真も例外ではない。彼の作品は一見すると写真にしか見えないが、それは作者の意図するところで、半透明のインクで5回以上刷り重ねられた画面は写真と版画の両者の特性を生かした微妙な均衡が保たれている。海野なりの版を使った写真への落とし込み方にこれからも期待したい。
油絵学科准教授 元田久治