関萌瑚

Seki Moeko

誰も信じないこと -1
Things that no one believes -1

誰も信じないこと -2
Things that no one believes -2

誰も信じないこと -3
Things that no one believes -3

誰も信じないこと -4
Things that no one believes -4

誰も信じないこと -5
Things that no one believes -5

紙、インク、リトグラフ
Paper, ink, lithograph
H570 × W800mm ×10点

作者より

私は何年も前から大きな地震が来ると予想されている地域で生まれ育ちました。
中学生の頃には、本当に大きな地震が来るという具体的な日にちの噂が流れましたが、誰もそんな噂は信じることはなく、噂で予言された日の前日には、ふざけて笑いながら今生の別れをしている人たちもいました。
次の日になって、結局地震なんて来ることはありませんでしたが、数年経った今でも、本当に地震が来ていたらどうなっていたのだろうと想像することがあります。

関萌瑚

担当教員より

柔らかな光に包まれる白日夢のような絵は、1対の画面を読み解くほどに不穏なものとなり、ただならない情景を徴す絵へと変容する。「もしも〇〇が起きていたら」「もしも〇〇が起こらなかったら…。記憶から表出するイメージを版が作るレイヤーによって美しく統合し、2つの画面それぞれで過去・現在・未来という時を溶かしながら物語を展開している。私たちが認識する世界は、はたして真なるものなのか…。関の描き出すパラレルワールドは、不確かな現代を生きる者の心を静かにそっと揺さぶるのである。

油絵学科教授 遠藤竜太