黄芝秀

HWANG Jisoo

土田麦僊の女性へのまなざし
―《平牀》を中心に―
The Gaze of TSUCHIDA Bakusen on Women : Focusing on “Korean Maidens”

論文|84ページ(35,877字)

作者より

本研究は、日本画家である土田麦僊が描いた女性像に注目し、その中でも韓国の女性を題材にした《平牀》を中心にして、彼の画業を再評価することを目的としている。文献調査や、美術館での麦僊の作品鑑賞を行い、研究を進めた。その結果、《平牀》は、造形的特徴・画題共に、麦僊の制作の文脈を十分に汲んだものであることが分かった。また、オリエンタリズムやジェンダー論の観点から語られることが多く、そんな状況を批判的に見る意見もあった《平牀》だが、それらの観点はこの作品を分析する上で、欠かせないということを再確認した。

黄芝秀

担当教員より

本研究は、日本画の革新を目指した近代の日本画家・土田麦僊の、オリエンタリズム・ジェンダー論の文脈で検討されてきた《平牀》の、研究が不十分な造形に注目して再評価した。麥僊の様式確立過程を押さえ、緻密な造形分析と言説・社会背景の検討を行い、舞妓図としての位置と院体画の影響を明確に指摘した。新たな観点と解釈、堅実な研究手法によって、作品を美術史上に位置付け直した優れた作品・作家研究であることを評価した。

芸術文化学科教授 春原史寛