藤井さくら

FUJII Sakura

石が降る
Stones fall

インスタレーション|印画紙、C-print
サイズ可変

作者より

予兆。

それは、自然的、客観的に現れることを指し、太陽や月などの天体現象、風や雨、雲、雪、雷などの気象、特定の動物や植物、人間の身体や行動、現象、とくにそれらが通常とは異なる現れ方をした様子のことをいう。

空から石が降ってくると天狗が出る、という言い伝えがあるらしい。どこからともなく降ってきた石は、天狗が投げたものだと信じられている。

予兆だ、なぜ人はそう感じるのか。
そう思わせる現象には、いつか起きうることを暗示するヒントがあるからだ。

断片的なイメージたちは、このあと何かが起ころうとするしるし。

ここでは見渡すことができる。

藤井さくら

担当教員より

1点1点の写真の魅力もさることながら、写真の独特な使い方を考えた作品とも言えます。わずか17文字を五七五という3つのグループに分けて、奥深い世界を表現する俳句と似ているかもしれません。作者は、主に自然の風景が写り込んだ大小異なるサイズの写真を、余白たっぷりの白い壁面と床の板の上にまるで音符のように並べ、写真のある空間を作り出します。その中に入ると隣り合う写真同士が共鳴し、我々のDNAに刻まれた何かが揺さぶられ、未来の物語を想像させられます。

映像学科客員教授 菅沼比呂志