斎藤翼

SAITO Tsubasa

カメは君のそばに
turtle is on your side

インスタレーション|プロジェクター、段ボール、アクリル、木材、ハニーパネル、スクリーン、リトグラフ、木版画、モノタイプ
H2000 × W2700 × D3700mm

作者より

カメと2人きりの時間は、私にとって日々の喧騒を忘れさせてくれるものです。
カメと見つめ合い、ただそこにある2つの生命を感じる。そのひと時を表現したいと思いこの作品を作らせていただきました。
上映している映像は、モノタイプ、リトグラフ、木版画の3種類の版画技法を用いた、55枚の版画で制作しています。
また、カメと2人きりの時間を体感していただくために、1人用のカメシアターも制作いたしました。
ぜひご覧ください。

斎藤翼

担当教員より

斎藤は学部2年の頃から一貫して亀をモチーフに制作してきた。
油性木版画やリトグラフで作られた作品は、亀に対する尽きせぬ愛で溢れている。当時から版画作品を数枚撮影しコマ送りにした映像作品も登場していたが、特に3年次コンクールの時に見た立体と映像を組み合わせた作品は衝撃的であった。
ダンボールで作られた甲羅の一部と映像作品は荒削りではあったが、平面だけでは収まることのない表現欲求を自然な形で具現化していた。その時から甲羅に人が入っていくアイデアが浮かび、そのまま卒業制作へとつながったと斎藤は云う。
作品「カメは君のそばに」での甲羅の中で再生されている映像は、亀のゆったりとした動きを再現する為に55枚にも及ぶ様々なメディウムを駆使した版画をコマ送りにしている。平面と立体は一見相容れない要素だか、映像が両者を繋ぐ仲介役として重要な役割を担っている。斎藤は4月から劇団の小道具という部署に就職する事を聞いた。これから作家活動と仕事の両立が求められる中、どのような作品が登場するのか、今後の創作活動に期待したい。

油絵学科教授 元田久治