植田大誠

UETA Taisei

signboard holder 竜宮城まで
signboard holder to Ryugu-jo

ビデオ、記入済み契約資料、住民との会話音声、文字起こし、概要、看板、ブロンズ鋳造看板、プロジェクター
映像|サイズ可変

作者より

太陽が沈む
潮が満ち
カラスが声を上げ家に帰る。 
9時間とはそんな時間だ。

魂が震える。
と言いたいところだが、
足が震える。
9時間とはそんな時間だ。

植田大誠

担当教員より

此処に奇跡とミステリー

何をしているのか、見ている、待っている、そもそも此処は何処なのか……それを私たちに問う空間だ。契約書が開示され、向かうべき、想像するべき行先も立て看板と銘板に記されている。それでも謎は消えないことが、この作品の最大の魅力である。
謎を残すためには全てを白日のもとに晒さなければならない。作家は最高のミステリーを空間に仕組もうとした。仕組むと書くとインテリジェンスが過ぎるだろうか、この作品にセコイ知性の入る余地はない。謎が残る—奇跡が起きる—ことを待つ、その徒労に芸術の可能性を賭ける。それは世界に対してささやかだが確かで、過激な一撃となるはずだ。作家はそのことを直感的に嗅ぎ取り、世界の何処かに向かって直撃取材を試みる。其処での出会いは、作品の完成度を「奇跡的に」底上げした。
身体と直感による判断の連続から、作品は作家の知らないものになる。この作品は芸術の本質に触れている。

彫刻学科教授 冨井大裕