偽りの境界線Fake border line高知麻紙、岩絵具、水干絵具、鉛筆、銀箔Kochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigments, pencil, silver leafH1820 × W2730mm
ふと、そこらにある植物たちに興味をもった。毎日のように通る同じ道で、毎日違う表情を見せる植物が面白かった。もともとこの植物たちはここにいて、埋め立てられてもなお伸びているのだろうか。それとも埋め立てられた土の隙間に、後からやってきたのだろうか。大人しく植わっているかのように見える街路樹の根がコンクリートからでてきている。鉄とコンクリートでできた側溝から草が、花が生えている。人と植物の静かな縄張り争いが始まっている。 新井あかね
新井は植物と人間を隔てるものとして路側帯の溝のふたをモノクロームの鉛筆で表現した。「偽りの境界線」と題されたこの作品は物語性を感じさせる柔らかな色彩とイメージの中で境界線とされた路側帯だけがリアルな現実として強く感じられる。それは私たちが日常生活の中で様々な境界線を意識することと無関係ではないだろう。国家、民族、アートとデザイン、日本画、様々な境界線が虚構なのかもしれないが実際に存在することをこの作品は示しているのかもしれない。 日本画学科教授 尾長良範
作者より
ふと、そこらにある植物たちに興味をもった。毎日のように通る同じ道で、毎日違う表情を見せる植物が面白かった。もともとこの植物たちはここにいて、埋め立てられてもなお伸びているのだろうか。それとも埋め立てられた土の隙間に、後からやってきたのだろうか。大人しく植わっているかのように見える街路樹の根がコンクリートからでてきている。鉄とコンクリートでできた側溝から草が、花が生えている。人と植物の静かな縄張り争いが始まっている。
新井あかね
担当教員より
新井は植物と人間を隔てるものとして路側帯の溝のふたをモノクロームの鉛筆で表現した。「偽りの境界線」と題されたこの作品は物語性を感じさせる柔らかな色彩とイメージの中で境界線とされた路側帯だけがリアルな現実として強く感じられる。それは私たちが日常生活の中で様々な境界線を意識することと無関係ではないだろう。国家、民族、アートとデザイン、日本画、様々な境界線が虚構なのかもしれないが実際に存在することをこの作品は示しているのかもしれない。
日本画学科教授 尾長良範