草地紀乃

Kusachi Kino

Evil Woman

映像|37分41秒
Video|37min 41sec

作者より

ふくよかで不美人な、連続殺人鬼の女。
その女に恋をする、中年の男。
そして子離れのできない、男の高齢の母。

この物語は、2007年に起きた「婚活連続不審死事件」からインスパイアを受けた作品だ。
殺人鬼をテーマにした作品は多々あれど、私は加害者側の「殺人の動機」より被害者側の、女がつけこんだ「心の隙間」に胸を打たれた。

寂しい。人恋しい。素の自分を、受け入れてほしい。
彼の気持ちは恋ではなく、依存だったのかもしれない。
でも私は、そんな誰もが奥底でもつ切実な気持ちを、今作で丁寧に描きたかった。

草地紀乃

担当教員より

太め体型の悪女カナエは、老母と暮らす独身男の家に巧みに入って居座り、母親を老人施設に追いやると、やがて息子も練炭自殺と見せかけ殺そうとしていた…。実際の事件をモデルに丹念な取材・調査と思考を重ねて脚本を推敲し、リアリティのある人間ドラマに集約。冷徹で業の深い主人公の女を監督自ら演じ、年配の共演者からは翻弄され餌食となる非力な中年男の哀切な少年性をあぶり出した達者な演出力と構築力を評価された。

映像学科教授 小口詩子