田嶋瀬里音

Tajima Serine

Tiny Family

物干し台、ディスプレイ、写真をプリントした布、ほか
Clothes drying stand, display monitor, cloth, other
H2000 × W8000 × D1000mm

映像|11分00秒、13分00秒、14分00秒
Video|11min 13min 14min

作者より

私は5人兄弟の末子に生まれた。しかし、両親は離婚し、年の離れた兄弟はとっくに家を出て行ってしまった。家族とは何か。その疑問を明らかにしたくて制作を始めた。
結論から言うと、私は「幸せな家族」という幻想に囚われた幼い末子だった。
現代において、もはや家族は「なる」べきものではなく、「する」ものなのだ。だから、バラバラのように思える今の「家族」も、正しく一つの「家族」のかたちなのだ。あの輝かしい日々は、真実ではなかったかもしれないけれど、現実だった。私は、きっとそれを証明したかったのだ。

田嶋瀬里音

担当教員より

家族に関する私的ドキュメンタリーは数多くあるが、5人兄弟の末子である作者が離れて暮らす家族全員にインタビューを行い、それぞれが「家族とは何か」を語る映像を見て再度彼らの反映を記録したことは特筆に値する。加えて母親が29年間、近親者に向け発刊していた手記や、家族アルバムと家族史を、窓越しに夕景を借景できる洗濯の物干し台に配置し、「ある家族の肖像」が「社会的な事象」として読むことを可能としたといえる。

映像学科講師 瀧健太郎