little collections[niwaより]little collections[from niwa]インスタレーション|ミクストメディアInstallation art|Mixed media
今回のコレクションでは、8つのものを置くことにした。通りすがりのわたしが、そこにただ在ったものの断片をたまたま見つけ、拾い上げた、たったそれだけの事実がある。わたしはこれからもコレクションを増やし続け、一喜一憂するのだろう。 近年のささやかな楽しみは、人の庭の観察である。庭は家庭に寄り添うものであり、長年の生活が積み重なることで、それぞれにとって合理的で美しいものになってゆく。 佐々木菜津子
佐々木菜津子の作品の特徴は、手のひらに乗るような小さい映像とその支持体としてのスクリーンにある。スクリーンの物質は、通常は映像にとってノイズでしかない痕がつけられたり、砕片化されており、その固定された点や線とプロジェクションによる物資の影が映像との相互作用によって、一種の化学反応に似た現象を引き起こしている。展示の全体は実家の庭の記憶、京の庭の形象によって組み立てられている。手のひらサイズの映像は庭石のように点として布置され、結界を示すような直線とコーナーの要素がそこに加えられ、全体には僅かな高低差のある地形が与えられている。その中心には自身の身体、正確にいうと、彼女の手のひらによってすくい取られた映像を内包している、身体の寸法をなぞった木のフレームが位置付けられている。その結果、この庭は自身によって生きられた庭となる。もしかしたら、誰かしらも見られることなく、この庭は存在しているかもしれない。 映像学科教授 板屋緑
作者より
今回のコレクションでは、8つのものを置くことにした。通りすがりのわたしが、そこにただ在ったものの断片をたまたま見つけ、拾い上げた、たったそれだけの事実がある。わたしはこれからもコレクションを増やし続け、一喜一憂するのだろう。
近年のささやかな楽しみは、人の庭の観察である。庭は家庭に寄り添うものであり、長年の生活が積み重なることで、それぞれにとって合理的で美しいものになってゆく。
佐々木菜津子
担当教員より
佐々木菜津子の作品の特徴は、手のひらに乗るような小さい映像とその支持体としてのスクリーンにある。スクリーンの物質は、通常は映像にとってノイズでしかない痕がつけられたり、砕片化されており、その固定された点や線とプロジェクションによる物資の影が映像との相互作用によって、一種の化学反応に似た現象を引き起こしている。展示の全体は実家の庭の記憶、京の庭の形象によって組み立てられている。手のひらサイズの映像は庭石のように点として布置され、結界を示すような直線とコーナーの要素がそこに加えられ、全体には僅かな高低差のある地形が与えられている。その中心には自身の身体、正確にいうと、彼女の手のひらによってすくい取られた映像を内包している、身体の寸法をなぞった木のフレームが位置付けられている。その結果、この庭は自身によって生きられた庭となる。もしかしたら、誰かしらも見られることなく、この庭は存在しているかもしれない。
映像学科教授 板屋緑