丸野悠太

Maruno Yuta

石橋楼
Ishibashiro

模型|スチレンボード、木材、塩化ビニル、プラスチック、ほか
Model|Styrene board, wood, vinyl chloride, plastic, other
H600 × W1800 × D1800mm

作者より

敗戦後間もなく、三軒茶屋に闇市の名残である三角地帯が形成されていった。夜になれば、賑わいの絶えないドヤ街だ。しかし、同時に再開発の対象地区でもある。更地にした先に、残るのはきっと綺麗すぎる、当たり障りのないビルディングだけだ。そこで、三角地帯が培ってきたストーリーと三軒茶屋の名の由来であるかつての茶寮、石橋楼がホテルとして蘇り、二つが共生する姿を描いた。

丸野悠太

担当教員より

三軒茶屋に今なお残る、戦後に出来たバラック商店エリア 通称「三角地帯」。
市井の人が愛する独特なシズル感は、未来が失ってはならない豊さを蓄えもつ。
丸野はこの豊かさを保持しながら、かつてミッドセンチュリー期の建築ムーブメントであるメタボリズム的な発想を現代に蘇らせ、ユニークかつ軽やかに宿泊施設を計画してみせた。
提案はハードだけに留まらず、使われ方の視点から現存「三角地帯」の持つソフトインフラを活用又融合し、新旧の面白いコントラストを見せる。
“リアリティー/ファンタジー”という対義する概念を融合し、過去と未来を繋ぎ、それぞれの価値を認めるという新しい環境作りの提案である。

空間演出デザイン学科教授 片山正通