長谷部満莉愛

Hasebe Maria

no name land

インスタレーション|アクリル絵具、岩絵具、和紙
Installation art | Acrylic paint, pigments , Japanese paper

作者より

人の心も考えも心情も、大事なものは見えないものばかりで、私達は日々見えないものに触れて生きている。だからなのか、人のことを分からないまま判断したり、理解することを諦めてしまったりする。そういう小さな問題が拡張し、大きな摩擦や不寛容を生み出している。だからこそ、そういった人の見えない内面性に対して私達はどのように触れ、理解し、愛することができるのか。
この作品は鳥を人の比喩として用いて人の一生とそれを取り囲む環境や状況を白で描いた。この作品を観ることを通して人の内面性に接することについて考えを巡らせていただけたら嬉しい

長谷部満莉愛

担当教員より

長谷部は白い空間の中に数多くの白い和紙を張ったパネルを展示構成することで作品を制作した。パネルは一見して何も表現されていないかのように展示されているが近寄ってみると鳥をめぐる物語が表現されている。インスタレーションとしては課題があるように感じたが、観客が作品に近寄り視線を動かすことで見えなかった物語性が読み取れるようになっており、一見してわからなかった内面性に観客を誘うよう作られているところに今日的な意味を感じる。社会の中の個人の存在の意味や表現の強度とは何か?という疑問を観客に感じさせてくれる。

日本画学科教授 尾長良範