チョウ ジュンイ

ZHANG Junyi

Pictomen Carnival

紙、樹脂、液晶ディスプレイ
Paper, resin, LCD
本|H270 × W210mm(150ページ)
パネル|H1400 × W600mm
オブジェ|H150 × W50 × D50mm、ほか
映像|1分10秒、43秒、1分9秒

作者より

1964年東京で行われたオリンピックをきっかけに世界中の人に知られるピクトグラムは、公共機関で広く使われる視覚言語として、人類が国際言語に期待してきたことに応えた。その中で人間を表した「ピクトマン」は、体型や姿勢など人間固有の特徴を省略し、純粋な視覚言語で情報を正確に伝え、コミュニケーションをはかる。しかし、ディティールが省略されすぎたり、日常生活にありふれていることで、ピクトグラムへの関心がなくなってきたのではないだろうか。
卒業制作をするにあたり、「ピクトマン」に省略された人間ならではの個性と特徴を呼び戻そうとし、期待されていないことを行わせることによって、親しみ深い視覚言語であるピクトグラムへの再考と好奇心を喚起させようと試みた。ピクトグラムに再び関心を持ってもらい、「ピクトマン」に新たな可能性を想起してもらえたら幸いである。

チョウ ジュンイ

担当教員より

ありふれた人のピクトグラム。男女の区別のために描かれたロボットのような二次元の人体図に、もしポニーテールやほくろ、ぽっこりしたお腹やふくよかなお尻があったら…。素朴な着眼から、人間固有の体型や体温、ふるまい、ファッション、ジェンダーレスなど自在に発想が広がり、個性や人格をもつおびただしい数のpictomenが生成されていく。本作品の傑出した点は、それらが原像であるトイレマークを危うく逸脱していないところだ。オットー・ノイラートが見たら、きっと微笑んで相づちを打ってくれることだろう。

基礎デザイン学科教授 板東孝明