後藤まどか

GOTO Madoka

ルート
root

高知麻紙、楮紙、岩絵具、水干絵具、墨、新聞紙
H2973 × W1818mm

ピリオド
period

雲肌麻紙、岩絵具、水干絵具、墨、金泥、段ボール
H1818 × W2273mm

作者より

人々が暮らしを営むときに張られる「根」の持つ生命力の強さに惹かれ、現代生活の実感を色彩と形態のリズムを用いて表現した。

同時代性や生活感は、確かな形を持った感覚のようでいて、揺らぎをはらんだ感覚でもある。
明快な構造をベースにすることで、今この時代の確かな存在感を、コラージュや模様の利用、多視点からの観察によって目に映るという現象の不確かさを同時に表現できるよう試みた。

後藤まどか

担当教員より

室内を描く後藤の絵から、ポップアートの起源とも言われるリチャード・ハミルトンによるコラージュの作品を思い浮かべてみる。色合いこそ似通った部分は少ないが、ポップに通じる解釈が今に繋がっている様に見える。かつての新印象派のジョルジュ・スーラは筆触の分割から点描にたどり着いたが、同時代に活躍したピエール・ボナールはジャポニスムに傾倒しながら室内情景などを好んで描いていた。後藤がモティーフとする身近な風景を描く際は、浮世絵の構成に刺激を受けたとあるが、その大胆な構成は画面の斜め上から突き刺さる送電塔であり、描かない空間そのものでもある。イラストレーションの装いをまといながらも色彩豊かな作品は、現代ではデイヴィッド・ホックニーを彷彿とさせるが、後藤の描く風景は、古びた飲食店や、人々の暮らしの記憶を蘇らせるツールなのかも知れない。

日本画学科教授 間島秀徳