9回裏2アウト2 outs in the bottom of the 9th高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨H1820 × W5460mm
野球の試合を球場で初めて観戦した。 このご時世もあって全員がマスクをしており、声を出しての応援も制限されていた。試合は8-0と点差が開いていたが終盤に差し掛かり怒涛の追い上げを見せ、9回裏2アウト一打逆点の場面。応援しているチームは違えど観客全員が一つの事象を見て胸を熱くした会場の一体感、緊張感を表現したいと考えた。 蜂須瑚々
一打逆転の大詰め9回裏の緊張の場面。平常とは違うコロナ感染対策ゆえの大声援禁止の固唾を呑む静寂と緊張の世界。画を見る鑑賞者も引き込まれて共に臨場感を味わうような錯覚を覚える。魚眼的な大スケールの空間を表現するにはこの大画面が必要だったのだろう。画面を取り囲む寒色系のモノクロームの色彩で統一し細密に表現された客席のスタンド。対して温かみの発色を感じる和紙の生紙を活かして描かれた中央のグランド内の簡潔な明るさ。この表現の対比が魅力的で生き生きとした劇空間を感じさせている。 日本画学科教授 西田俊英
作者より
野球の試合を球場で初めて観戦した。
このご時世もあって全員がマスクをしており、声を出しての応援も制限されていた。試合は8-0と点差が開いていたが終盤に差し掛かり怒涛の追い上げを見せ、9回裏2アウト一打逆点の場面。応援しているチームは違えど観客全員が一つの事象を見て胸を熱くした会場の一体感、緊張感を表現したいと考えた。
蜂須瑚々
担当教員より
一打逆転の大詰め9回裏の緊張の場面。平常とは違うコロナ感染対策ゆえの大声援禁止の固唾を呑む静寂と緊張の世界。画を見る鑑賞者も引き込まれて共に臨場感を味わうような錯覚を覚える。魚眼的な大スケールの空間を表現するにはこの大画面が必要だったのだろう。画面を取り囲む寒色系のモノクロームの色彩で統一し細密に表現された客席のスタンド。対して温かみの発色を感じる和紙の生紙を活かして描かれた中央のグランド内の簡潔な明るさ。この表現の対比が魅力的で生き生きとした劇空間を感じさせている。
日本画学科教授 西田俊英