原田圭捺

HARADA Keina

観賞される役割 —Admiration role—
Admiration role

A woman is
Flower Watching

インスタレーション|紙、インク、リトグラフ、リソグラフ
サイズ可変(版画30点、冊子『A woman is』、アートブック『Flower Watching』計8点による)

作者より

自分が違う性別だったら起こり得なかった状況や、社会の「当たり前」の価値観が生み出す立場や環境を問題視していた。それは勘違いと捉えることもできる脆い違和感のような気がして、その気持ちを留めておくのに必死だった。
私の体験した場面や感情は間違いなく存在していたと常に思い出せるよう、情景を石版画に起こしていった。版が刷られ複製する過程を通して自分は自分の認識を何度も確認する。

原田圭捺

担当教員より

性差による役割や規範となる固定観念についての問題、いわゆるジェンダーバイアスをテーマとしている。
多様性が認められ誰もが自分らしく生きられる社会を希求する強い思いがこもった筆致は、石版に対峙する過程を経て造形的に洗練され、単色の明快な印刷とも相まって、実直で堂々とした表現に結実した。
社会への問題意識をモチベーションに造形表現に懸命に励んだ結果が、真っ直ぐな訴求力となって伝わってくる作品である。

油絵学科教授 遠藤竜太