人の鋳型あるいは人を入れる容器の様なブロンズ製の「carbonized measure C」は力作である。人型を横に切って分鋳されたパーツは、よく見ると、いずれも下側に鋳造のための湯口と湯道を残してベースの鋼材に接し、足裏の外側面だけ開放鋳型で鋳込まれた板材の上面が用いられている。シンプルで豪快な形状の中に洒落たセンスが伺える。コンクリートと木材を重ねてブロンズのパーゴラを配した「Static creeping and shaping the air」は鉄製の展示台の下に彩りのあるマットを敷いて、上部のラフな材質と横長の形状を際立たせている。これまで作者は一貫してブロンズ彫刻を制作し、モデル(原型)の型取りではなく、鋳型作成のプロセスにおいて独自に発想された作品を展開してきた。卒業制作では発泡スチロールを消失原型とする成型技法を追求し、その成果を見事に示した。
作者より
「風景・環境」「慣習・宗教」「人体・動物」の三要素をそれぞれ組み合わせた2点。
物が纏う雰囲気やオーラのような曖昧な空気を測ることができる道具というテーマで、自分がこれから作る作品や、一緒に展示された作品、展示された場所が纏う曖昧な空気を、これらを通して測るというもの。
宮本颯
担当教員より
人の鋳型あるいは人を入れる容器の様なブロンズ製の「carbonized measure C」は力作である。人型を横に切って分鋳されたパーツは、よく見ると、いずれも下側に鋳造のための湯口と湯道を残してベースの鋼材に接し、足裏の外側面だけ開放鋳型で鋳込まれた板材の上面が用いられている。シンプルで豪快な形状の中に洒落たセンスが伺える。コンクリートと木材を重ねてブロンズのパーゴラを配した「Static creeping and shaping the air」は鉄製の展示台の下に彩りのあるマットを敷いて、上部のラフな材質と横長の形状を際立たせている。これまで作者は一貫してブロンズ彫刻を制作し、モデル(原型)の型取りではなく、鋳型作成のプロセスにおいて独自に発想された作品を展開してきた。卒業制作では発泡スチロールを消失原型とする成型技法を追求し、その成果を見事に示した。
彫刻学科教授 黒川弘毅