吉村優里

YOSHIMURA Yuri

木密の寓話
Fable of Downtown

プレゼンテーション|スチレンペーパー、黄ボール紙、スノーマット
H1800 × W1800 × D1800mm

作者より

私は本制作にて「物語る建築」を提案する。
敷地は東京都墨田区木下川の一角。豚革産業の下町として重要な役割を担ったが、同時に穢れと嫌悪された歴史がある。
ここは日常が営まれる住宅街でありつつ、多大な闇をはらみ、確かにそこにあった。そこで、それらを「事実」ではなく「物語」にすることで、現代とは全く関係なく「過去のもの」としてとらえたい。資料の陳列だけでない「物語る」機能を持ったアーカイブ建築を提案する。

吉村優里

担当教員より

建築の力を信じ、建築が孕む「物語る力」を最大化した実験的な設計である。作者の生まれ育った東京都墨田区の下町における製造業の歴史の記憶が消されようとしている敷地に、街や産業の記憶を「物語る」空間を提案している。下町の木蜜地区のバラックが無造作に集積して立ち上がった形態とその断面は、下町の迷路性を立体化したようにパワフルな秀作である。この作品は、着想から計画、設計、プレゼンテーションまで圧倒的な内容によって今年度の卒業制作において建築学科金賞を受賞した作品である。

建築学科教授 布施茂