2001Y(田村義希)

TAMURA Yoshiki

Motive Revealer: 会話から下心をリアルタイムに特定するAI
Motive Revealer : AI that Identifies Motives in Conversations in Real-Time

プレゼンテーション|ディスプレイ、プロジェクター、タブレット
H3000 × W5330 × D3360mm

作者より

私は、他の表現にはない言葉の正確性が好きだ。言葉は原則万人共通の表現であり、発言の多くは欲の表現であると捉える。そんな私にとって「呑みに行こう」という表現にずっと違和感があった。

実際に調べてみると、日本人口の44%が遺伝子的にアルコール耐性が低い(低活性型/不活性型ALDH2)と言われており、この遺伝子を持つ人は世界的には8%しかいない。

さらに17–18歳から飲酒が認められる国が多くある中、日本の法律的な飲酒可能年齢を考慮すると50%以上もお酒を呑めない/飲んではいけない国となる。

それにも関わらず、日本において「呑みに行こう」という発言は、非常に汎用性の高い言葉として多用されており、その発言の目的は“飲酒”だけでないように感じられる。

“食事”や“会話”はもちろん、所謂“下心”などもあるだろう。それは「呑みに行こう」という同じ発言であっても、目的が情報共有することや食欲、性的欲求を満たすことになっていると言える。

このような表面的な発言から隠れた目的を分解し、“その発言で満たそうとしている根源的な欲求”を意識できるように、このMotive Revealerを制作した。

Motive Revealerはスマートグラス向けアプリケーションを想定した体験であり、約300件のインタビューを元に作成した「あらゆる発言から下心/動機/目的を特定するAI」を使って実装している。

2001Y(田村義希)

担当教員より

本作品は、会話の発言に潜む隠れた意味や目的に注目し、その発言の背後にある根源的な欲求を可視化するものである。そのために生成AIと画像解析といった最新のテクノロジーを用いて、これまでにない新たな体験を創出することに成功している。今後日常的に起こることが想定される、AIによるアシストがある日常を示唆する意義は大きい。またそれらを理論に留まらず、体験のデザインとして実装していることに独自性がある。

クリエイティブイノベーション学科教授 岩嵜博論