齊藤美帆

SAITO Miho

non objective object #3

non objective object #7

non objective object #8

FRP、アジャスターボルト、ステンレス、シリコンゴム、アルミニウム箔、アクリル板
H1450 × W1200 × D450mm、H580 × W700 × D2200mm、H430 × W760 × D760mm

作者より

なにかをなにかだということにしながら、社会を形成し、そのようにして日々を生活していく。
「なにか」であったような特徴を備えながらも、「なににもならない」作品群を制作する。
「なにか」だと思ってきたこととは、一体なんだったのだろうか。

齊藤美帆

担当教員より

タイトルの通り「目的を持たない物体」の連作の内の3点がここに展示されている。連作全体の景観はストルガツキー兄弟の小説「ストーカー(路傍のピクニック)」のゾーンをも想起させる。つまりこれらは、それぞれが異なる独立した理由のようなものを持っているのだ。機能や目的がなく、制作方法も形体的にも共通するものがないのに、目的を持っている物体のような共通項がある。この逆説こそが、造形性を目的に作られた凡百の「抽象彫刻」と最も異なる点だろう。ところで「機能」とはなんだろうか。目的を持たないこれらの物体が語るものは「外部との関係を持とうとするもの」と言えるかもしれない。日常的な観察から始まり、複雑な制作プロセスを通して生成したこれらの物体は、見る側も作者も通り越したような謎の関係項を獲得している。それらがまさに「毎日見ているものの正体」に出会ったような場を作り出しているのだろう。

彫刻学科教授 伊藤誠