Home1
Home2
Home3
Grandmother1
Grandmother2
Grandfather
紙、インク、リトグラフ各H870 × W630mm
韓国で私はおじいさんが亡くなってからお母さんと一緒に認知症のおばあさんと暮らしています。 家で一緒に生活しながら時には幼い時の記憶の中の暖かいおばあさんですが、時には私を覚えていないおばあさんの姿が悲しくも、怖くも、辛くも言葉で説明できない数多くの感情を感じます。 これを通じて私にとって家という空間は他の人とは違う意味の空間になることを感じました。 このような私の感情が明確にどんな形で存在しているのか知りたかったです。 ウォン ソヨン
老婆がいる室内や家のある風景が描かれているため、私は安易な気持ちで「家族愛や郷愁がテーマなの?」と聞いてしまったことがある。ウォン ソヨンの答えは、「複雑な感情表現です」というものであった。後で知ったのだが、そこには認知症の祖母との暮らしが描かれていたのである。 彼女の作品は、持前の精緻な描写力に加えて、版の振る舞いを制御しつつ版が壊れる寸前までインクを盛る攻めた刷りが特徴で、その気持ちの籠ったひとつひとつの作業が作品に強烈な存在感を与えて観る者の感性に迫ってくる。 異国の地にいても常に心のどこかにあった家族への複雑な感情に、卒業制作という節目を機に正面から向き合い、真摯に制作に励むことによって作品に昇華したのだと思う。そのような一連の秀作は、私たちそれぞれの簡単では無いリアルな人生と、そこにある「普遍的な家族愛」を表現している、と言えないだろうか。 油絵学科教授 遠藤竜太
作者より
韓国で私はおじいさんが亡くなってからお母さんと一緒に認知症のおばあさんと暮らしています。
家で一緒に生活しながら時には幼い時の記憶の中の暖かいおばあさんですが、時には私を覚えていないおばあさんの姿が悲しくも、怖くも、辛くも言葉で説明できない数多くの感情を感じます。
これを通じて私にとって家という空間は他の人とは違う意味の空間になることを感じました。
このような私の感情が明確にどんな形で存在しているのか知りたかったです。
ウォン ソヨン
担当教員より
老婆がいる室内や家のある風景が描かれているため、私は安易な気持ちで「家族愛や郷愁がテーマなの?」と聞いてしまったことがある。ウォン ソヨンの答えは、「複雑な感情表現です」というものであった。後で知ったのだが、そこには認知症の祖母との暮らしが描かれていたのである。
彼女の作品は、持前の精緻な描写力に加えて、版の振る舞いを制御しつつ版が壊れる寸前までインクを盛る攻めた刷りが特徴で、その気持ちの籠ったひとつひとつの作業が作品に強烈な存在感を与えて観る者の感性に迫ってくる。
異国の地にいても常に心のどこかにあった家族への複雑な感情に、卒業制作という節目を機に正面から向き合い、真摯に制作に励むことによって作品に昇華したのだと思う。そのような一連の秀作は、私たちそれぞれの簡単では無いリアルな人生と、そこにある「普遍的な家族愛」を表現している、と言えないだろうか。
油絵学科教授 遠藤竜太