永井智大

Nagai Chihiro

欧文書体UNIVERSの研究と実践
The Research and Practice of a European Typeface: UNIVERS

本|紙、無線綴じ並製本、オフセット印刷
Book|Paper, perfect binding, offset printing
H250 × W255mm

作者より

国際的に強い影響を及ぼしたスイス・タイポグラフィにおいて、バーゼル派の中心的な役割を担った巨匠の一人が、エミール・ルーダーです。彼はその合理性と美しさから、サンセリフ体Universを好んで使用しました。その書体を設計したのが、アドリアン・フルティガーです。活字に求められる良好な判別性、可読性、誘目性ついて多くの実用的な解答を示し、かつスイス・タイポグラフィの知識体系の重要な一端を担うUniversの歴史、運用、造形的変遷を研究し、1冊の本と3枚のポスターという形に表現することで、巨匠たちの造形理念の追試を試みました。

永井智大

担当教員より

戦後を代表する書体「Univers」の制作者であるアドリアン・フルティガーが昨年9月に87歳で逝去した。ニコラ・ジェンソンを信奉し、スイスが誇るタイポグラファー、デザイナーとなったフルティガーへの敬意を抱いて、この書体を電子活字に至る3段階で検証する。本研究には独自の見解も盛り込んであり、語の本来の意味でのエッセイとして成立している。卒業制作展全体のデザインと並行しての作業は、これからの活動の礎となることだろう。

デザイン情報学科教授 森山明子