加川温子・鳥海葉菜

Kagawa Atsuko, Toriumi Hana

レ コード
re kodo

インスタレーション、映像|木材、モーター、ビニール、プロジェクター
Installation art, video|Wood, motor, vinyl, projector
H4000 × W4800 × D9600mm

作者より

わたしたちの制作は、二人の“対話”からはじまった。
ことばを交わしていく中で、「いまこの時、互いの時間を本当の意味で共有できているのだろうか」という疑問が生まれた。
人間は足並みをそろえ、同じ時間を歩んでいるようにみえる。しかし、わたしたちの過ごす時間はその時の呼吸、鼓動、光や温度といったもので、アインシュタインの相対性理論のように自由に伸び縮みするのではないだろうか。
人間は他者と時間や感情を共有しようと何度も試みる。それはエゴであり、意味は持たないかもしれない。だが、それを理解しながら、自己と他者という関係やつながりを繰り返し確認しあう、人間のいじらしい行為は“祈り”にもにたものである。この作品は、永続性のない他者との時間を留めておきたいというわたしたちの切なる抵抗の意思表示であると同時に、その運命を静かに受容していくための実験的装置である。

加川温子・鳥海葉菜

担当教員より

清楚にして恐(こわ)い造型である。
美しいがどこか醜いものを隠している。
その計算された精神が垣間見えて嫌ラシイ。
でも不思議と、自分に同調する。同種の私を引きつける。

空間演出デザイン学科教授 堀尾幸男
 

最初に零れ落ちる砂。
淡々と繰返される微かな所作に、わずかばかりの抵抗として、2本の細い棒がゆっくり動きながら、砂で出来たキャンパスに傷痕を残してゆく。

この古ぼけた装置は、産業革命のメタファーの如く私達人類が近代化の中で「何を獲得し?何を失ったのか?」と問いかけているようだ…

最後に零れ落ちる砂。
その答えはそれぞれの解釈に委ねられ、メタフィクションとしての機能を獲得しているように思えた。

空間演出デザイン学科教授 片山正通