上原愛美

Kamihara Manami

書影
The Image of Books

和紙、シルクスクリーン
Washi, silkscreen printing

斜陽
shayou
H2000 × W930mm

桜の森の満開の下
sakuranomorinomankainoshita
H480 × W970mm

変身
The Metamorphosis
H1440 × W920mm

藪の中
yabunonaka
H530 × W790mm

地下生活者の手記
Notes from Underground
H860 × W860mm

作者より

小説は言葉の集合体である。しかし読み進めるうちそれらは薄れ、虚構の景色が広がっていくだろう。
これは小説の全文を用いたコンクリート・ポエトリーである。小説の形式を解放された言葉達は、その小説をイメージした図像へ溶けていく。夥しい量の言葉、その一粒一粒が、大きな物語の影を編み上げているのだ。
言葉はただの記号にすぎない。しかし言葉がつくる世界は、ともすれば現実より生々しく、鮮やかな世界なのかもしれない。

上原愛美

担当教員より

一篇の小説のテキスト全文を再構成したシルクスクリーンによる版画作品。芥川龍之介や太宰治、ドストエフスキー、カフカなど、よく知られた純文学のテキストが個々の作品の題材として扱われている。文字が本という形式、頁という枠組みから解き放たれ、一枚の平面空間において重層し、また滲んだり霞んだりして、ノイズのような画素として定着した。全体として抽象絵画のような気配の、初めて出会う造形作品として生まれかわった。

基礎デザイン学科教授 板東孝明