井出彩乃

Ide Ayano

Live on −場所性と共に生き続ける建築−
keep living with place characteristics

スノーマット、アルミ板、チップボード、スチレンペーパー、紙、ほか
Snow mat, aluminum plate, chipboard, styrene paper, paper, other
H490 × W910 × D1175mm、H560 × W1810 × D1260mm

作者より

建築要素的アプローチによって「ここでしか成り立たない場所性」を守り、可能性を切り開いていく 「場所性と共に生き続ける建築」の提案。
次々と再開発が行われる新宿の中で、戦後闇市からの低層木造が密集した姿を残す通称「新宿ゴールデン街」を敷地とし、この場所の建築物において特徴的な要素を抽出する。高さ15m程に伸ばした階段は消火設備として配置され、屋根裏の空間は貸しギャラリー、梯子段は採光・通風のための開口として再定義される。今ある問題から「場所」を守り、結果として「場所」に対する新たな視点・発見的風景が現れる。

井出彩乃

担当教員より

場所は新宿ゴールデン街、階段とギャラリーの提案。路地にひしめくマッチ箱状木造建物の隙間に配された7基の階段は、火災時消防車と接続し上から散水する設備。その壁柱は防火や既存建物補強に役立ち、光を反射し路地や室内に届ける。煙突効果で通風を促すガラスの縦動線は屋根裏のギャラリーへ繋がり、階段とともに新しい風景の要素となる。リセットではなく、すでにある場所性を守りつつ街を更新する提案として、本作を高く評価したい。

建築学科教授 高橋晶子