齋藤元希

Saito Genki

孤島にて漂う~心の再興~
Memorial Park

紙、MDF、スタイロフォーム、アクリル、ほか
Paper, MDF, styrofoam, acrylic board, other
H790 × W2400 × D1000mm、H1280 × W900 × D450mm、H1250 × W600 × D600mm

作者より

復興は不安要素を排除することで完了しようとしている。海岸線には堤防がそびえ立ち、高台に移住することで、人々は安全と引き換えに海を捨てた。悲劇に蓋をすることが復興だと錯覚しながら生きていくしかない人々は、震災に拘束されていると言える。ハード面の復興が進む一方で、ソフト面の復興は逆行しているのではないだろうか。幻想を捨て、現実に目を向ける時間が必要だ。この建築は人々を拘束から解放し、現実世界を生きる手助けとなる。

齋藤元希

担当教員より

「孤島にて漂う~心の復興~」は、東日本大震災による犠牲者を弔う場の提案である。震源地から最短距離の石巻市金華山を敷地とし、そこに日常と非日常による空間体験をさせることで、現実と対峙させている。海、空への風景を多様に切り取るようにシーンの繋がりや見え方を丁寧にスタディし、動線に伴う空間の連鎖をひとつの建築として見事に統合した力作である。図面・CGと模型によるプレゼンテーションは質、量とも圧巻である。

建築学科教授 布施茂