齊藤拓未

Saito Takumi

たまり
tamari

高知麻紙、岩絵具、水干絵具
Kochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigments
H2273 × W1818mm

作者より

日常会話、行動の中で、自分を客観視している自分がいることで、冷静に物事を把握できる。しかし、それを過度にしすぎると自分に降りかかった事を重く受け止められなくなる。分離したもう1人は自分が傷を負わないように守ってくれるが、本当にこのままで良いのだろうか。自分を見つめ直すため、具象化しようと考えた。

齊藤拓未

担当教員より

「自己」と「他者という自己」を冷徹な眼でシンメトリーにとらえた作品である。そのふたりの黙した心の闇は、白へ白へと運ばれた。そして二体の重なりからは不気味な甲虫の壁飾りのようなものが出現してきた。こうした作者の意図したものとは別のものが生れたことで、さらにもうひとつの世界が展開して行くのだ。観る者には安定し過ぎる構成でありながら、何とも言えない不安を感じさせ、その恐れの混じった予感がまた希望にも見えてくる神秘的な双子像となった。

日本画学科教授 山本直彰