佐藤泉

Sato Izumi

5
five

吉祥麻紙、胡粉、鉛筆
Kissyo mashi, chalk, pencil
H1620 × W2273mm

作者より

アルバイト中、温水プールで泳いでいるお客さんを時々眺めていました。

佐藤泉

担当教員より

「5」と題されたこの作品は、作者自身がアルバイト先のプール場において直感によりインスパイアされたものである。縦に4本、斜めに1本の線で「5」を一つの単位として数を数える手法の「画線法」にコンポジションを見立て、泳ぐ人物のみを抽出し他を捨象することにより達成されている。
人物を滑らかで正確な白描と内側を象牙色で施し、一切の美しい白い余白が周りを囲む。その「画線法」に沿って並べられた人物は一見合理的で冷ややかな抽象の様だが、資生堂のモガ絵の様でもあり何やら懐かしくも詩的で美しい。
「画線法」と泳ぐ人物。そこに作家の意図する関連性は何もない。だが、ときに優れた作家のその創造とは、主義主張的な理屈や数学的な調和のみに基づいて全てが証明されるのではなく、むしろ魅力的な思考と喜ばしい経験とが合わさった、不思議に理屈では説明しきれないものであることに気がつかされるのである。

日本画学科准教授 岩田壮平