あの衣
Anokoromo
高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨
Kochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigments, ink
H1900 × W1620mm
この衣
Konokoromo
高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨
Kochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigments, ink
H1900 × W1800mm
その衣
Sonokoromo
高知麻紙、岩絵具、水干絵具、墨
Kochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigments, ink
H1900 × W1620mm
作者より
帰省した際に地元の街並みが幼い時と変わらずに存在しているとともに、慣れ親しんだ建物がなかったりと変わったところも見受けられて、地元を離れた数年間で変わっていない部分、上京してからいろんな経験をしたことで変わった部分があるなと自分と街が重なって見えたことを祖父母宅をモチーフにして表現しました。
寺野葉
担当教員より
当たり前の様に思っていた「もの」や「こと」が何かの形へと変化してゆくことは、進化とか成長であるのかもしれないが、そこには慶びとともに常に寂しさや侘びしさが付き纏う。
きっと変らぬであろう自我に沿って、何かを失いつつもその代わりに何かを得て人とは人生を前へと歩みを進めるのである。
寺野のこの三部作は、その様なノスタルジックと、そしてフューチャリスティックを現在の自らが感じとったその心の儘に表現をする優れた作品である。
「あの衣」に見られる幼い頃の且ての彼女。「この衣」に見られる此程の彼女。そして、「その衣」に見られるのは未然の彼女であろうか。
次第に成長し老いては形の違う自分。周りは雑草や樹々が生茂りを見せ、時が経ち変化を遂げてゆく自らと自らの環境の物語りを助長している。落ち着いた色合いと、ただ、其々の彼女の目だけが変らぬ意思の強さを魅せて…。
これは、歳若く多感で野心に満ちる卒業制作という今の刻にしか表現出来ない作品である。
日本画学科准教授 岩田壮平