tomato本|紙|インクジェット印刷Book | Paper | Ink jet printingH210 × W1485mm ×3点
トマトをじっと見つめたことがあるだろうか。 唐突だが、私はトマトが好きなのである。といっても食べ物としてより、素材として形態や質感、色に強く惹かれるものがあるのだ。 ハリのある表皮、伸びやかな蔕、複雑に入り組む果肉…トマトは独特の要素を併せ持ち、それら全てが美しくトマトがトマトたる所以を構成しているのだ。この作品では、私が思う美しいトマトの姿をひたすら追い、グラフィックに落とし込んでみた。私なりのトマトに対する好きの証明であると同時に、その魅力を共有するための記憶の断片を見せているのである。 笹原早希子
赤一色の平面上のわずかに変形した反射光によって、それが均質な平面でなく、丸みを帯びていることを了解し、特徴のある稜線が記憶と繋がった瞬間に「トマトだ!」と気づく。一見、写真表現しているのかと見まごうほどリアルな本作品は、実物の果実を観察しピックアップした「らしさ」を編集した連作のイラストレーションだ。トマトのヘタも本体の赤色と相補的なバランスをもち、その深緑色も見応えのある造形性を有している。シンプルに描き出された色とかたちが、トマトの生命性へと肉迫している。 基礎デザイン学科教授 板東孝明
作者より
トマトをじっと見つめたことがあるだろうか。
唐突だが、私はトマトが好きなのである。といっても食べ物としてより、素材として形態や質感、色に強く惹かれるものがあるのだ。
ハリのある表皮、伸びやかな蔕、複雑に入り組む果肉…トマトは独特の要素を併せ持ち、それら全てが美しくトマトがトマトたる所以を構成しているのだ。この作品では、私が思う美しいトマトの姿をひたすら追い、グラフィックに落とし込んでみた。私なりのトマトに対する好きの証明であると同時に、その魅力を共有するための記憶の断片を見せているのである。
笹原早希子
担当教員より
赤一色の平面上のわずかに変形した反射光によって、それが均質な平面でなく、丸みを帯びていることを了解し、特徴のある稜線が記憶と繋がった瞬間に「トマトだ!」と気づく。一見、写真表現しているのかと見まごうほどリアルな本作品は、実物の果実を観察しピックアップした「らしさ」を編集した連作のイラストレーションだ。トマトのヘタも本体の赤色と相補的なバランスをもち、その深緑色も見応えのある造形性を有している。シンプルに描き出された色とかたちが、トマトの生命性へと肉迫している。
基礎デザイン学科教授 板東孝明