向井ひかり

MUKAI Hikari

ななめに立つ
Stand with an angle


クリームロウソク

パース

光り輝くねこじゃらし

幸水梨

恐竜を襲うウニ

コマ

糊付き綿布、フェアリーライト、鉄、紙、蛍光塗料、磁土、セメント、小麦粉、ほか
H885 × W423 × D530mm
[最小]H12 × W39 × D4mm〜[最大]H31 × W76 × D5mm(15点)
H43 × W900 × D368mm/H42 × W731 × D371mm/H140 × W126 × D2mm(3点1組)
H61 × W140 × D267mm/H322 × W180 × D5mm(2点1組)
H490 × W78mm
映像|11秒

作者より

光の直進や身体が地面に立っているということから「風景」について思考し、無意識に目をやったものを何かの共通点をもって結びつけることにより現れた秩序を解体しようとした。

地面に立ってものを見るとき、足をつく位置と目の高さは重ならず、距離を持つ。目から地面を眼差そうとする視線、また地面から反射する光が目に直進しようとすることを斜めに遮るように手に持ったものを見る。身体を持つことによる偏りを、その都度眼前から消え去る「風景」の仮留めによって並べて見る。

向井ひかり

担当教員より

綿のガーゼで巾着をつくった。そこに小麦粉を入れてアクリル板の上に落としてみる。その痕跡がウニの口のようだった、それと鉄塔が。
車の車窓から垂直のビルがいくつも見える、車の動きに連動し重なったり、小さくも見える。大きなビルも車窓に収まってしまう。
パンケーキをどんどん重ねていくと倒れてしまう、傾き始めたところで素早くほうきでつっかえ棒をするが、蝋燭の蝋がほうきの柄を伝って流れてきた。魔法は使わないと決めてしまったから。

向井の語る作品の話しは、おおよそこんな感じに進行していく。作品づくりもそれらと連動し、様々な思惑や思索が任意に交換され、時には組み合わされる。日常の些細な発見や小さな出来事が集積されながらかたちづくられていく。それらは向井にとって日常を記録するという行為かもしれない。ここでは「些細な」「弱さ」「小ささ」という事が興味深くもあり、実に厄介なのだ。それらを認識し、転換し、定着させるためには観測と選択は怠ってはならない。さて、高性能な虫眼鏡を用意することにしよう。そして、凝視する。自ずと素材やつくり方が見えてくるまで待つことにする。
「小さな前衛」も膨大な月日を経て、さらなるフェーズに進化しているのだ。
そうだ、映画「マーズ・アタック!」の地球を侵略する異星人の弱点とそれを発見した場面の話しをするのを忘れていた。
日常的な些細な事物の中に圧倒的な力が内在していることに気づくのだろう。

彫刻学科教授 三沢厚彦