イ ウンソ

LEE Eunseo

ベバン連立 ─ベバンからみる共同社会─
Baebang Row House

映像|36分09秒
レポート|39ページ(9,797字)

作者より

私は私の地元であるベバンという街でおばあちゃんたちの共同社会をテーマとし、おばあちゃんたちの日常に密着したドキュメンタリー映像を制作いたしました。
作品の中では、おばあちゃんたちが集まって食べ物を作るシーンや分けて食べるシーンがよく出ます。
「食」はベバンの共同社会の中ではただ単に栄養とする行為を超え、おばあちゃんたちが長い間作ってきた文化でもあり、夫が先に亡くなって一人になってしまったおばあちゃんたちの暗黙的な支え合いでもあります。
おばあちゃんたちを撮っていたらカメラを意識せず、いつものようにカメラの外側の私に声をかける時も多かったです。そのためこのドキュメンタリーの中では孫である私の主観的な視線が入っております。

イ ウンソ

担当教員より

このドキュメンタリーに説明らしいものはない。しかしそれはさほど問題ではない。ベバン連立(共同住宅)のおばあちゃんたちの生活は、「人が生きる」という原初的な感覚を思い起こさせてくれる。隣人と共に作物を植え、収穫し、食べ、語り、歩き、笑う姿に、観るものは次第に引き込まれ、いつしかそこに自分を投影する。事実を理解ではなく、自由に感じ取ることができる時間がここにはある。作者の対象へのまなざしと、その伝達方法が高く評価された。

芸術文化学科教授 米徳信一