塚本萌生

TSUKAMOTO Mei

積層する連想 —絵画が重なる—
Layer of Associative Mental Imagery: An Overlying Painting
Picturization of “Associative Mental Imagery” in a Research Study of Lamination and Transparence with the Use of Acrylics

あなたには聞こえない|あなたと祈り|愛があれば|不確かな明日|もういちど|夢中になること
You just don’t get it.|Prayer|Can you feel the love?|Uncertain tomorrow|Litany|Infatuation

木製パネル、アクリル絵具
H910 × W1167mm(5点)、H1120 × W1455mm

作者より

走馬灯のように連想されていくそれぞれのシーンが、あるひとつのイメージをつくりあげる様子を絵画で表現しようと試みた。セル画の重なりから着想を得た絵画の層を、連想されたイメージの積層と結びつけている。すべての作品がアクリル絵具と水のみで描かれており、水で薄めることのできる限界や定着度、発色を研究することで、上から絵具を塗り重ねても透明性を維持している。「連想」のイメージと「積層」の技法を研究したものである。

塚本萌生

担当教員より

作者はあるひとつの物や現象を見たときに、一瞬にして頭の中で連想され、呼び起こされる記憶の波を、絵画の層の連鎖として視覚的に表現し捉えたいと考えた。あるモチーフや出来事を見たときに、そこから連想される記憶の連鎖は各個人に特有の物語であり、人生である。人々の生き様は人の数だけあるが、作者が連想する人生の記憶の断片が、鑑賞者の記憶の断片と重なり、人生の記憶の断片を共有することを可能とした優れた絵画である。

芸術文化学科教授 是枝開