脈動pulsation
鉄、磁石、モーター、ほかH1250 × W980 × D1000mm
抱擁embrace
江持石H1550 × W610 × D600mm
うごめくbudding
江持石H850 × W400 × D950mm
石の重み、金属の響き、地球の素材に宿る記憶と生命の形。大地の声を聴き、触れることのできない神秘を探り、形にする。彫刻という技法を通じて「地球」という巨大な生命体と対話し、希薄になりつつある生命の本質とのつながりを問い直し、生命に触れようとする。 髙野桜蘭
転がる石のように、とはどこかの歌手の曲のようだが、髙野の石は転がらない。鉄は転がりそうだが、やはり転がらない。作品は、じっとそこに佇みながら何かをしているのである。重要なのは音という第四の存在だ。発生源は鉄だが、全体を見渡した時、鉄から音が聞こえることよりも音が存在していることに意識が向くと思う。音に存在=実感を与えるのは、石であり鉄である。二つの石は空間の圧力と踊っているようなフォルムをもち、さらりとした表面は私たちの視線をフォルムの先の方へと誘う。鉄は空間と組み合い、キュビスムかピクセルか、ごつごつと溶接された面が視線をとめる。その有りようが音を存在たらしめ、対する私たちの認識の解像度を上げる。 髙野は形をつくることで、形とは違うものを空間に仕立てようとしている。関係性とか出会いとか、そんな言い方は生ぬるい。シンプルなこと—物を扱い、形をつくり、配置する—が複雑なことになる。それがこの作品の魅力です。 彫刻学科教授 冨井大裕
作者より
石の重み、金属の響き、地球の素材に宿る記憶と生命の形。大地の声を聴き、触れることのできない神秘を探り、形にする。彫刻という技法を通じて「地球」という巨大な生命体と対話し、希薄になりつつある生命の本質とのつながりを問い直し、生命に触れようとする。
髙野桜蘭
担当教員より
転がる石のように、とはどこかの歌手の曲のようだが、髙野の石は転がらない。鉄は転がりそうだが、やはり転がらない。作品は、じっとそこに佇みながら何かをしているのである。重要なのは音という第四の存在だ。発生源は鉄だが、全体を見渡した時、鉄から音が聞こえることよりも音が存在していることに意識が向くと思う。音に存在=実感を与えるのは、石であり鉄である。二つの石は空間の圧力と踊っているようなフォルムをもち、さらりとした表面は私たちの視線をフォルムの先の方へと誘う。鉄は空間と組み合い、キュビスムかピクセルか、ごつごつと溶接された面が視線をとめる。その有りようが音を存在たらしめ、対する私たちの認識の解像度を上げる。
髙野は形をつくることで、形とは違うものを空間に仕立てようとしている。関係性とか出会いとか、そんな言い方は生ぬるい。シンプルなこと—物を扱い、形をつくり、配置する—が複雑なことになる。それがこの作品の魅力です。
彫刻学科教授 冨井大裕