青田有

AOTA Yu

Cell

和紙、岩絵具、水干絵具
H2500 × W6000mm

作者より

朝、眠りから覚めたときに目に入る天井の木目、窓の外を間に横切っていった緑、遠くで静かにゆらめく煙。
五感から取り入れるすべての情報は、透明度・不透明度にかかわらず堆積し、細胞となってわたしという輪郭を形作っていく。
指の隙間からこぼれ落ちていくような不安定さを内包し、確かな形を持たないまま蓄積されたそれらが、自身ですら気づかぬうちに思考や感情のゆらぎとして立ち上がる感覚を表現しようと試みた。

青田有

担当教員より

若い世代の人たちが幼い頃から身近に接してきたイラストのようなやわらかい線で簡略化された人物たちは、自身たちの思春期の複雑な感情を視覚化するために日本の文化の中に根強く存在し、定着しているものだと感じている。
青田有はそれらを和紙やキャンバス地、クラフト紙に形態を変え何度も描き、どうしたら自分にとって必然性のある表現として成立するのかを試みてきた。
卒業制作においては一切妥協をせず、パネルの形から納得のいく形態を模索し、また和紙と日本画材を扱うことにも真摯に向き合ってくれた。
変形したパネルの扱いが難しいことで作者の想定を越え、デジタル作業での工程を省き画面に挑んだことで、繊細な日本画の絵具の鮮やかさを自在に引き出す表現へと展開した。
これまでの作品を越え、作者の内的衝動や細胞のようなエネルギーが画面から勢いよく立ち現れてきた。
色彩への高い潜在的感覚を持つ作家だからこそ成立する、若い感性で描く新しい日本画として魅力的な秀作となった。

日本画学科准教授 熊澤未来子