遠藤貴大

Endo Takahiro

0.3の境界 ~江ノ電の新しい車窓風景の提案~
Border of 0.3, New window landscape of Enoden

模型|スチレンボード、黄ボール、ラッカースプレー、他
Model|Styrene board, yellow cardboard, lacquer paint, other
H500 × W3640 × D1030mm H500 × W728 × D1030mm

作者より

私たちは当たり前のように電車に乗って移動しているが、ふとした瞬間に車窓から見える風景に魅力を感じることがある。

神奈川県鎌倉市長谷2丁目に観光客と住人の双方のための複合施設を計画する。対象敷地を通る江の電は、平均時速20kmと特にスピードが遅く、場所によっては線路と建物の距離がとても近い路線である。

上記の特徴のため、線路側に開口部を設けると、車窓からでも建築内部を観ることができる。建物の用途それ自体や使用する人々の行為、周辺環境などによって車窓から見える風景を創り出してゆく。

全長10kmの江ノ電のうち、0.3kmの車窓風景を少し変えることで、江ノ電の魅力は増幅され、既存の景色と混ざり合い、新たな風景を紡いでゆく。

遠藤貴大

担当教員より

「0.3の境界」は、江ノ島電鉄線の沿線住宅地との特徴的な関係をテーマに、長谷駅から0.3kmの線路際の空き地を敷地に計画した複合施設である。線路から連鎖するような敷地を利用した低層の建築群は車窓からの視線、線路向こうの開口との関係など丁寧に設計しており、江ノ電沿線の魅力的な空間をより増幅させるような提案である。制作テーマから研究、計画、設計、プレゼンテーションへと丁寧にまとめられた秀逸な作品である。

建築学科教授 布施茂