入山きらら

Iriyama Kilala

Ride

ブロンズ、鉄、木、鋳造
Bronze, iron, wood, casting
H1600 × W1300 × D700mm

作者より

点と点は線になり、線と線は面になる、面と面は立体に。
面と面の連続は、新たな形を生み出し、そこにある光と影は、立体を曖昧なものとして存在させた。

入山きらら

担当教員より

木の箱に
ヘヴィーなメタルが
乗っている
この作品は多面体のユニットで構成された抽象彫刻だと言えるかもしれない。しかし単純に形態の問題のみでは語り得ない、生きのいい収まりの悪さがここにあるのだが、それはどこから来るのだろうか。例えば多面体の結合から生じる平行四辺形の面の生み出すイリュージョン。箱のような、やけに目立つ台座。量感を感じさせるブロンズ鋳造。どことなくヘビメタ風スタッズを連想するユニットの連なり。意識的なのか偶然なのかこれらの要素が関係して予想外の化学変化を生み出しているのがこの作品の身の上か。そういえば作者はこれまでイカのような軟体動物ばかり作っていたそうな。この異質な展開こそがこの作品世界に連なるのだろう。イカは落語の「てれすこ」の如く作者の頭の中で「すてれんきょう」になったのだろうか。イカはブロンズという質量を得る事によって斯く変化し、我々の脳の中を動き回る。彫刻のメタモルフォーゼの変幻自在をけっして侮ってはならない。

彫刻学科教授 伊藤誠