田中義樹

Tanaka Yoshiki

修羅は破の段階に至った。
The next stage for “Shura”.

インスタレーション|パフォーマー、木材、ほか
Installation art|Performers, wood, other
H3000 × W10000 × D10000mm

作者より

六三四の剣、道場、実家、竹刀を振るチンパンジー、彫刻家になることを諦めた男の起業セミナー、中央線は自殺の名所、汚いキャバレーのような場所、singing man、宇宙に行きたい人たち、脱出。
「初めて月に行ったアポロ13号に搭載されたコンピューターと任天堂から発売されたファミリーコンピューターはだいたい同じ性能なんだってさ」
「じゃあ僕たちでも宇宙に行けそうな気がするね」

ウィー ディドゥント スタート ザ ファイヤー
イット ワズ オールウェイズ バーニング
シンス ザ ワールズ ビーン ターニング
ウィー ディドゥント スタート ザ ファイヤー
ノー ウィー ディドゥント ライト イット
バット ウィー トライド トゥー ファイト イット

田中義樹

担当教員より

いったい何のために展覧会に行くのか。興味のある美術作品を見るためか。他では得難い何かを感じるために行くのか。なぜ皆で見なければならないのか。展覧会とはどんな「場」なのかを考えさせられるのが田中のこのインスタレーションだ。この作品は漫画「六三四の剣」の主人公の成長を追って空間的に展開されている体裁をとっているが、そんなことはどうでも良いところに引き込まれて行くだろう。ここにはこの漫画に由来するものが詰まっているが、見る側は自分自身に引き寄せて見てしまう。それを可能にしているのが作品の細部。乱雑にも見えるが無駄なものが意外に存在しないのだ。そのうちに彼の作品を見ている観客も作品の中に見事に取り込まれて作品の一部と化しているのに気づくだろう。観客の存在を前提とする劇場型の展示に異議を唱えるモダニストを横目に「客引き」までして観客を連れ込んでしまうのが田中流だ。お客さんはとても良い役割を演じていた。おそらく私も。

彫刻学科教授 伊藤誠