柏木兼介

Kashiwagi Kensuke

土地の色相環
Hue circle of land

模型, プランニング|紙、布、木、鉄、モルタル
Model, planning|Paper, cloth, wood, iron, mortar
模型:H2000 × W1800 × D900mm
空間:H2700 × W4640 × D8200mm

作者より

人が手を加えることなく、自然に生えてくる「雑草」
雑草は土地々々の環境に対し、素直にそこに生え、季節に合わせて、身を染め、大地を染めている。
それら自然の産物から色を頂き、季節や土地の色味を味わい、そのひと時を閉じ込める。
その日その場でしか出ない色を集積し、土地の色相環を作っていきたいという気持ちから「場所と時間」を記憶する染工房を提案した。

自然と共生する
ではなく、
自然と共生していた
ことに気がつく。

「雑草」とは我々が勝手につけた名前である。

柏木兼介

担当教員より

色相の総体を順序立てて円環にして並べたものを色相環と言う。
〈Wikipediaより〉
まさしく柏木の仕事自体が、ひとつの信念で貫き通された色相環のようである。
東京を舞台に様々な場所で雑草を摘み、その雑草で布を染める。一見同じに見える薄緑色に染められたファブリック群は、それぞれ“一期一会”の微妙な差異を見せることで総体の意味を露わにする。
アクティビティの最終形として理想の染め工房を、木材とコンクリート製の荒々しい建築模型で提示した。それはまるで手の痕跡を色濃く残すセルフポートレートスカルプチャーのようであり、柏木が目指す本質的な美の探求、その始まりを意味する未来予想図のようにもとれた。

空間演出デザイン学科教授 片山正通