石川夏帆

Ishikawa Kaho

2面のための進行
Progression for dihedral

白御影石
White granite
H400 × W1200 × D750mm

そこで止まるとき
When it stops there

大理石、木材
Marble, wood
H700 × W1100 × D600mm

作者より

一方が決定された時、他方も決定される。そんなものを実現させたかった。決定されることに期待を寄せながら、その時々の決定はゆるがされ、それでもなにかに近づこうとする。目の前に現れるものの在り方を考えながら。

石川夏帆

担当教員より

幾通りもの謎を解こうとする気持ちが、この作品が生み出す力なのだろう。タイトルに示された通り、最初に恣意的なイメージがあって作られたものではない。ある方法に従って制作し、その過程で生まれてきたものを作者が発見し、掬い取ったものがここにある。それは作者にとっても、これを見ている我々にとっても等しく謎だ。彫刻家の仕事とはなんだろう、と誰しもが考えるのだが、実はこのような等しく考える「場」を出現させることなのかもしれない。この作品は結果的には「謎」だが、決して謎めいた造形ではない。

彫刻学科教授 伊藤誠