須山恵子

Suyama Keiko

casket-1

FRP
H670 × W1400 × D550mm

casket-2

FRP
H850 × W1400 × D1050mm

作者より

生物に食われて死ぬという解放された肉体が自然の摂理の輪に入り込んでいく姿から生物を「棺」という器として捉えてみる。
吸収された亡きものは栄養として生きているものに溶け込む。それを意識し形にすることにより自身の器に溶け込んでいる存在を感ぜざるを得なくなっていく。

須山恵子

担当教員より

メタモルフォーゼス―これらの作品は、変身の物語を連想させる。凶暴な狼の体内から安らぎにみちた表情で出現する女性。この猟奇的な主題、太古に遡ってくり返されてきた(プリミティブな)古びることのない(プリモルディアルな)夢想。その擬態によって、作者がなにか運命的な自らの憧憬を成就しているのだとしたら、異質な身体の接合が野獣的なものの崇高さ、それがどれほど精神的なものであるかを宣言している様にみえるとしても、塑造に長けた技量が達成した鑑賞者の眼差しをおびき寄せる儚い幻影は、作者自身に由来するよそよそしい力の出現によって転生を遂げるだろう。

彫刻学科教授 黒川弘毅