佐々木大河

Sasaki Taiga

廻る
circulate

漆|脱活乾漆技法
Urushi|Hollow dry lacquer
H2300 × W600 × D500mm

作者より

仏教には宇宙に対する思考がある。その宇宙空間まで仏像を到達させようと日本の仏像彫刻の中には様々な手法や技術、捉え方を使い、天に上っていくような造作物が作られていった。
実空間にある彫刻を物理的に宙に浮かせる事は不可能に近いだろう。しかし、思考や哲学などとそれを実現させる為の表現手法が呼応しあった時、彫刻も宙に浮く事が出来るように思えた。

佐々木大河

担当教員より

奇妙な!―伏せた表情をもつ頭部と右手の構成が半跏思惟像を参照したと思わせることを除けば、この人物の仕草はこの一言に尽きる。後頭で三つ編みした髪の先端を左手の人差し指で浮かせ、左足の指先で宙から地に舞い降りたこの図像の起源は、何処にも辿れない。不自然に脛に添えられた一組の手をもつ四臂の腕と、内部に肉体の実態感を欠いたコスチュームは、宗教的な妄想をかき立てる。漆というメディウムが持つ幻影を纏わせる能力を、作者は再活性化した。独力で。

彫刻学科教授 黒川弘毅