島杏奈

Shima Anna

#3

鉄|溶接、鍛造
Steel|Welding, forging
H1200 × W1650 × D1500mm

作者より

今この瞬間抱いている感情はどこまでが「自我」であるのだろうか。私はこの作品で、無意識と意識の狭間を体現するために目的を持たずに限られた技法で作業を続けることで、一瞬一瞬のリアルな欲求と衝動を形に落とし込む事にした。

島杏奈

担当教員より

半開きの塊、とは奇妙な表現だが島の鉄作品「#3」を見た第一印象だ。その後ピカソのキュビズム的版画「牡牛」が頭に浮かんだ。この二つの印象にどのような関係があるのだろうか。本来塊とはムクなもので一繫がりの表面で閉じているが、表面のあり方によって空ろにも感じられる。充実した内部から押し出されたような表面ではなく、断片化、構成化され張り付いた表面、多視点面のコラージュとも言える表現こそキュビズム的である。これは島の作品の特徴とも一致している。さらに島はこの塊を一繫がりの表面として閉じることを避け内部の空洞をさらけ出している。しかし、キュビズムから大きく逸脱しているのは、表面を視覚的表面から触覚的表面へ、皮膚的表面へと移行させ近代的造形主義を乗り越えようとしている点にある。

彫刻学科教授 戸谷成雄