栗田大地

Kurita Daichi

being−木彫−
being -The wood-

樟|一木造り
Camphor tree | Wood carving
H1100 × W1000 × D1100mm

作者より

木は中心を持つ『個』である。
そこから複数の事物が生じ、再び1つの流れの中に統合される。
各々が持つ物語はその過程で失われ、形態の塊となり、抽象に至る。

栗田大地

担当教員より

モチーフとなった人物は音楽家のバッハとバルトーク、そして画家のゴーギャンの存在も表現されている。それらは栗田自身の趣味性に依存するところも大きいが、それにより自己を投影する密度も益々増してくる。
一見して、マニエリスム以降、バロック以前の様式に向かう進行形の様な印象が見受けられる。彫り出されている人物や魚、蛙などの接点は溶け合い、滑りをおびながら、歪み、傾きながら交じり合っていくようだ。それは、一つの物質に還元されようとする時間軸も同時に感じさせる。
栗田は彫刻表現における「趣味性」と「我は何者であるのか」という問いかけを「木を彫る」という行為を通して出現させようと、もがきながら前進しているのだ。さぁ、もっと先へ行かないと。複雑に蠢く何かを常に感じながら…。

彫刻学科教授 三沢厚彦