松浦光紗

Matsuura Arisa

街の孵化器
Return to the natural

紙、白ボール、発泡スチロール
Paper, cardboard, styro foam
H4000 × W3000 × D2300mm

作者より

いままで肯定されていなかった雑多な街並みや、そのなかで生じる野性的な人間の行動を、都市の快楽として捉え直すことができるような建築。池袋における駐車場といった狭小地に、排気ダクト、カーテンやテント、給水塔、隣地構造体など、街から採取したエレメントを用いながら本能の赴くまま人々の行動(たばこを吸う、イチャつく、寝る、飲んで吐く、湯につかる…)を肯定する場を設計した。

松浦光紗

担当教員より

都心では再開発によって清潔に整備された地区が出現し、街のイメージをリニューアルしつつある。その一方で、人の本能的・野生的な行為の器となる雑多な界隈は消失しつつある。作者は長年親しんでいる欲望渦巻く猥雑な都市・池袋を歩き回り、肯定的に語られない本能的な行為の数々を同期・増幅するような場を設計した。
「生きられる街」を設計するのはお仕着せになるリスクを伴うが、作者はそれに賭ける勇気と力を持っている。

建築学科教授 高橋晶子