宮島花実

Miyajima Hanami

人間の土地
Human Land

〈都市映像〉
“The Image of City” | 22min 30sec
22分30秒

作者より

東京の埋立地を歩きながら何かが起こりそうな場所で三脚を立てじっと撮影する。これを繰り返した。ここに記録された出来事はすべて偶然だ。しかしドラマがある。人間の生活とかつて海だった土地の2つの時間が交差しながら誰の演出でもない物語がここに生きている。

宮島花実

担当教員より

このような映像作品を出現させるには、映像制作とは無縁のような能力が必要とされる。
何しろ、起こっている出来事を撮るのではなく、出来事が生じる以前からそこにいて、物語の発生に立ち会うのだから。まず、出来事の可能性を秘めているような場所(三叉路、橋のたもと、宗教ゾーンの結界、空き地、など)を観察し、対象とは反対側に立ち位置を固定して、そこに、じっと立ち、自分を消す。その姿はジャングルの茂みに潜んで、狙いを定めているスナイパーの姿と似ている。一方で、宮島花実は映像制作に必要な能力も併せ持っている。対象のサイズとフレームの確かさは別格であり、長期間に渡って撮影した素材がパラレルに生じているかのように組み立てる編集は見事である。
この映像を10回以上、みている。その度に、そこで発生している出来事を場所ぐるみで、体験したかのように、記憶するのは何故か。
文学においては、文芸評論家の前田愛が〈都市小説〉の規定を試みた。〈都市映像〉というジャンルは、未だに曖昧なままである。

映像学科教授 板屋緑